中長距離ランナーのための【ランニング広辞苑】

オーバートレーニングのすべてを網羅。慢性疲労の回避方法

time 2018/12/06

オーバートレーニングのすべてを網羅。慢性疲労の回避方法

慢性疲労

通称(オーバートレーニング症候群)

知っていますか。疲労困憊のまま練習を継続した場合に起こる、疲労を超えたスポーツ障害の一つです。これも2つに分類することができます。

交感神経型

交感神経型のオーバートレーニング症候群は、筋トレやインターバルトレーニング、スピードトレーニングを多く行った場合に発症しやすく、交感神経(興奮した時に働く)をフルで動かしても対応出来ないような興奮状態。つまりは、ハードなトレーニングを行った場合に起こる。心拍数も増加する。回復には数週間を要する。

 

副交感神経型

副交感神経型のオーバートレーニング症候群はロングジョグやLSDなど、単調で長時間の負荷の低いトレーニングの積み重ねで起こる。初期は疲労蓄積によって交感神経型のオーバートレーニングに陥るが、筋肉への負担が少ない運動のため疲労に気付きにくく、知らず知らずのうちに交感神経がシャットダウンされ、副交感神経(リラックス時に働く)優位に陥る。心拍数は変化なしか、低下する。回復には数週間〜数ヶ月を要する。鬱のような症状はこちらの方が出やすい傾向にある。

 

この二種類のオーバートレーニング症候群が存在します。2のオーバートレーニングを正しく理解して、健康的なランニングを楽しみましょう。

「市民ランナーの私はならないよ~♬」なんて呑気なこと言ってても、練習量だけが原因ではないんです。

実際、学生ランナーの2~3割、市民ランナーの1はオーバートレーニングの疑いがあるというデータもあります。市民ランニングチームにメンバー20人居たとして2人はオーバートレーニングと考えると、調子を落としているあなたもその一人かもしれません。(汗)

今からオーバートレーニングの原因と症状、解決法を解説していきますね。

 

そもそも交感神経と副交感神経とは??

これらは自律神経です。自律神経には交感神経副交感神経があり、これらはバランスを保って人間の体を支えております。興奮状態だと交感神経が優位に。リラックス状態だと副交感神経が優位になります。このバランスが崩れると精神的に不安定になったり、体温調節ができなくなったり、不眠症になったりと様々な支障をきたします。

オーバートレーニングとは?

過剰なトレーニングの繰り返しで、容易に疲労が回復しなくなった慢性疲労状態の事。近年、集団を大切にする日本の文化の発展によって、自身の疲労に合わせることが出来ない、また疲労してても言い出せず無理をしてしまう選手が増えている傾向にある。これらの回復には数週間〜数ヶ月を要するとも言われており、前の記事で紹介した、神経性疲労とも関連が深い。

原因は??

原因は、トレーニングの五大原則トレーニングの三大原理を無視し、闇雲なトレーニングを積んでしまうことが主に考えられる。破壊と再生のバランスが崩れ、俗に言う「体がついてきてない」と言う状態である。筋肉は負荷の高いトレーニング後2448時間をかけてさらに強い筋肉へと生まれ変わるという「超回復」の原理を頭に入れて練習に励みたい。

トレーニングの五大原則と三大原理(知らない方はチェック)

しかし、実際長距離ランナーは、心肺機能維持のために毎日トレーニングを続ける必要性も拭いきれない。遅筋の性質上も、持久力を維持するには日々刺激を入れる必要があるからだ。だが、速筋や神経系は回復期間も必要である。そこの駆け引きが難しいところだが、それはジョグのペースコントロールや、週1回の完全休養などでバランスを取るしかない。

また、トレーニング量が平均的なレベルであったとしても、休養の質が低いと、例え低頻度のトレーニングでもオーバートレーニング症候群は考えられる。

実際の例

13時間睡眠で、週510キロの走り込みをした人がいました。週2回の休養はトップアスリートランナーにとって多い方である。しかし、彼は60日後にトレーニングを行えない程の疲労感に見舞われた。

これは簡単な例だが回復行動である睡眠をかなり極端に怠った結果、慢性的な疲労を患った例である。

 

オーバートレーニングの段階

オーバートレーニングも症候群と言われるだけあって、疾患の1種であり、症状の度合わけが可能だ。

軽症(筋肉、血管の機能障害)
練習は可能だが、いつもより疲れが取れない。スピード練習では直ぐに息が切れる。
普段の生活ではなんら支障はない。

 

中程度症(上記+神経系、内臓の機能障害)
ゆっくりなジョグでもキツさを感じる。普段から疲労感を感じ、気分も優れない。

 

重症(上記+精神、免疫の機能障害)
普段の生活から疲労感があり、トレーニングはほぼ不可能。ウォーキングでさえ辛く、自律神経の乱れから夜は眠れない。
気分が優れず、ネガティブな鬱状態。

 

軽症では筋肉や血管系に機能低下が見られるため、動きの悪さ酸素運搬能力の低下が見られる。中程度症では、神経系や内臓にも機能低下がみられ、慢性的な疲労感や気分にも影響がある。重症化すると、精神的にも影響し、風邪をひきやすくなったり、免疫系にも影響を及ぼす。

大体の症状は、交感神経優位、副交感神経優位のオーバートレーニング症候群にあまり差はありません。しかし原因が違うため、解決策や治癒期間に差があります。

 

何を調べればわかる?

オーバートレーニングは自覚しにくく、体調不良や強い疲労だと言った認識で調子を落としたままのランナーは数多い。実際に何を調べればわかるのか。もちろん先程、軽症、中程度症、重症で示したような症状があればまず疑ってもいいと思う。

このような疑いがある場合は、

①とりあえず2.3日の休養

②同時に血液検査に行く

③(最大酸素摂取量をはかる)

POMS(心理検査),鬱病検査など

24の結果に応じて休養

 

と言った流れが、誰でも出来る最善の方法だと思う。実験施設なんかだと、もっと詳しい運動時の数値なども取れるが、そんなのが近くにある人も少ないと思うので、今回は1番簡単であり、的確な対処を示した。

①休養

これはやはり一時的な疲労かを判断するのに一番手っ取り早い。睡眠と栄養が足りておらず、体調が優れていない場合は、風邪などと同様、栄養と睡眠で回復するからだ。

「休養 フリー画像」の画像検索結果

②血液検査。

これは貧血のチェック内臓や筋肉の疲労度合いを見るためです。もちろん貧血な内臓疲労も、トレーニングによって起こるのですが、オーバートレーニング症候群とは少し対処法が違う。原因が血液だとわかっている分、医学的処置で治る可能性が高い。数値としては、「ヘモグロビン、フェリチン値、LDHCPK」あたりを見て頂ければ良いです

ヘモグロビンとフェリチン値などが下がっていた場合貧血。LDHは高いと肝機能低下、CPKは高いと筋肉等の炎症を指します。これらが原因の場合、それなりの処置で治る。筋肉の炎症もあまりに強いとオーバートレーニングの可能性があるが、少々高いのは疲労と捉えて問題ないです。

「血液 フリー画像」の画像検索結果

③最大酸素摂取量測定

カッコで囲んでいるのは測定出来る設備がある人が少ないからである。しかし、オーバートレーニングで走る練習に支障をきたしている方は、ほぼ全員がこの最大酸素摂取量が低下する。だが精密に測らなくても先程の血液検査で重度の貧血がないのにゆっくりでも走るのががキツイという方は少なからず低下していると考えて良いと思う。(貧血でも最大酸素摂取量は低下するので血液検査で原因を見分ける必要がある。)もちろん計測施設を利用できる場合は利用するといい。最近はランナー向けGARMIN社の腕時計でも最大酸素摂取量を推測値として算出してくれる機能がついていたりする。参考にしてみるといいでしょう。

POMS心理検査

研究などでよく使われる代表的な心理検査である。この場合、オーバートレーニングの疑いのある人が、どれくらいネガティブで情緒不安定で鬱のような状態に陥っているかを検査するために行う。POMSは紙面アンケートですので安価で購入も可能ですが、もし手軽に試したいという方は、少し精度は落ちますが、Googleで「うつ病 チェック」などと検索してみると、ネガティブ度を判定してくれるサイトが出てくるので、POMS程ではないですが試してみると良いです。
度合いが高いほど重症の可能性が高いです。

POMSの詳細(参考サイト)

うつチェック(おすすめの無料テスト)

⑤結論を出す

ここまでの結果を経て、①や②の他の原因ではなかった場合はオーバートレーニングの可能性が高まります。③や④の重症度、そして先ほど説明した軽症~重症の症状に当てはまる部分がある場合、休養期間を設定します。また、重症と判断できる場合は、2週間以上の休養期間を設ける必要があると思います。オーバートレーニングに関して知識のある医師のもとで更なる指導を受けるなり、行動を考える必要があります。是非、スポーツ内科の受診をお勧めします。

貧血や内臓が原因の方は数値に医師の指導に基づくなり、判断してください。オーバートレーニングではないので説明は省略させていただきます。

 

最後に

やはり、大切なのは練習と休養のサイクルを計画立てて整える事です。「焦りは禁物」とよく言いますが、焦るとガムシャラに練習してしまいがちです。

最低睡眠時間の簡易参考式

4時間+(1日の走行時間[分]×[運動強度※])

[運動強度※]

心拍数を参考にした運動強度を下記から選択

☆最大心拍数=220-年齢

最大心拍数の85%以上なら※は2
最大心拍数の75%80%程度なら※は1.75
最大心拍数の60%70%程度なら※は1.5
最大心拍数の55%以下なら※は×1

 

例:25歳の方が心拍数150程度のジョグを60分行った場合

最大心拍数=220回-25歳=195

運動強度は150÷1950.7676%

(最大心拍の76%なので※に1.75を代入)

1日の総走行時間は60

4時間+(60×1.75)=5時間45

となります。

これは質の高い睡眠をとれた場合の最低時間です。これを下回ると一気に慢性疲労になるリスクが高まるという一つの目安です。就寝前の行動や食事で睡眠の質も回復速度も異なりますので、この値よりも長い睡眠が大切になります。

もちろん理想は一日7時間~8時間の睡眠をとることが理想です。

また、疲労すると起床時脈拍が通常時より高くなる傾向にあります。いつもより起床時脈拍が一分間なに5回以上多い場合は、練習量を落とすなど、目安にしていきましょう。

 

 

 

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ちょっと僕のつぶやき。

S。

S。

1996年生。 800m:1分52秒38 1500m:3分54秒53 というまあまあ無難な記録な学生時代。現役ランナーとして部を引退した現在も活動。昔から類い稀な、人体に関する知識や感覚、スポーツの栄養学やトレーニング法マニアで、沢山の人にそれを伝えるのが趣味である。 中学時代は800m:2分15秒、1500m:4分40秒の弱小ランナー 勉強を介して、独学で練習を編成。貧血やスランプも独自で乗り越え、毎年ベストを更。