中長距離ランナーのための【ランニング広辞苑】

ランナーの疲労の種類と回復法を徹底解説、それぞれの疲労。

time 2018/12/05

ランナーの疲労の種類と回復法を徹底解説、それぞれの疲労。

回復のメカニズム

回復は3段階に分類できる。

①直観的疲労回復 【数日】

②筋疲労の回復  【数日~1週間】

神経疲労の回復 【数週間~数か月】

※気持ちの疲労も含めること個人差が大きいため後に別で解説。

 

この3段階を経て体は完全な回復となるのだ。

しかし、3段階目の神経疲労などが全回復するのを待っていると、今度は②の筋肉が回復を超えて減少していってしまう。これを避けるためにも、回復というものは重点的に計画立てて行わないといけない。トレーニングばかりを重視していると、後々取り返しのつかないことにもなりかねない。

疲労とはこのように順を追って、回復していくのだ。

 

それぞれの回復速度を自覚しながら、大事な試合にはすべての疲労がとれた状態を作り上げないといけない。回復速度は個々で違うため、チームで練習しているとなかなか自分の思うように回復できないことも多く、これがチームに属するデメリットでもある。

 

直観的疲労

被トレーニング者本人がもうこれ以上動けないと感じたり、全身がだるく動きたくないといった、表面の疲労です。回復には数時間~数日という期間を要します。しかし、これは一番早く取れる疲労です。

例「今日(もう歩けない。どこにも出かけたくない。)⇒翌朝(足は張ってるけどどこか出かけたいな~)」

これが直観的疲労の回復です。食事や睡眠によって、脳の疲労エネルギー不足酸素不足が解消され、一時的な疲労感から解放されています。

 

 

回復方法

質の高い睡眠、高たんぱく食、糖質の摂取、入浴、アロマ浴など基本的なことで簡単に改善されます。この記事を読んでいる間にも軽くは回復しているんではないでしょうか。また、脳疲労や精神的な疲労には鶏むね肉がお勧めです。これに含まれる「イミダペプチド」という成分が効果的に作用します

 

筋肉疲労

皆さんが一番「疲労がたまっている」と口にするときに主に差している疲労ではないでしょうか。

直観的疲労が抜けても、残る筋肉の張り感覚や筋肉痛がこの一つです。筋疲労の原因は、筋肉の酷使であり、これによって筋肉が凝り固まって血流が悪くなったり、筋線維の微細断裂が起きます。

筋線維の断裂数が多すぎたり、筋膜が過剰に傷ついた場合は肉離れと診断されますが、普段の練習から実は数百本程度の筋線維は断裂と再生を繰り返しておりこれが筋に成長を及ぼしています。なので筋疲労は最低限必要なものなのです。

しかし、過剰に起こると困るため下記のような予防をしていきましょう。

 

予防方法

栄養補給とウォーミングアップが大切。

栄養

ミネラル類

不足すると筋肉が攣る(つる)現象や、筋パワーの低下ナトリウムは筋肉への脳からの伝達をサポートし、カルシウム,マグネシウムは筋肉の収縮力を高める栄養素です。骨のイメージが強いカルシウムですが筋肉のためにも積極的に摂取したい。

糖質

糖質は運動中に不足した場合、筋肉や肝臓のグリコーゲン(貯蔵糖質)を利用する。それも枯渇した場合、筋肉を分解して糖分を供給(糖新生)するようになります。運動前に摂取して、筋肉が落ちた。なんてことにならないようにしましょう。

BCAA

BCAAは糖質、脂質とともにランニング中のエネルギー源として作用する物質。筋肉の分解を抑制する必須アミノ酸。運動30分前に5gを目安に摂取。筋疲労改善の可能性あり。(BCAAの詳細はこちら

クエン酸

疲労物質と思われがちな乳酸を再利用しエネルギーに変換するのに必要。クエン酸回路で乳酸をATPに再合成するときにクエン酸がないと回路が動きません。

「食事 画像」の画像検索結果

水分補給

水分補給は何を隠そう一番大切です。人間の体の7割は水でできているといわれていますし、水分が不足すると、血液はドロドロになり、筋肉は痙攣。いいこと何一つないです。

ウォーミングアップ

トレーニングによるダメージを大幅に減少させます。筋肉を徐々に運動に適した柔軟性のある状態にしたり、筋肉へのエネルギー供給をしやすい状態にする。また、脂質エネルギー利用のスイッチを入れることができます。これで、激しい運動による、急な筋肉のダメージや栄養不足、糖質エネルギーの過剰利用を防ぎます。

 

回復方法

しっかりとしたクールダウン。そして予防で上げたような栄養素に加え、高たんぱくな食事やビタミンといった要素が必要になってきます。そして、マッサージやストレッチ、鍼治療や筋膜リリース、骨格調整など様々な外部刺激も効果的に働きます。

クールダウン

軽いストレッチと柔らかい路面での10分くらいのスロージョグは行った方がいいです。激しいトレーニングで筋肉が緊張したまま冷えて固まると、疲労物質が残ったままになります。ゆっくりと筋肉を動かし、血流とともに疲労物質を流してやりましょう。

また、運動中は足の筋肉に大量の血液が流れ込み、内臓や上半身に血液が供給されにくくなっています。クールダウンによって、筋肉をゆっくりと動かし、全身に血液を戻してやることが可能です。

高たんぱくな食事

糖質BCAAと組み合わせることでより効果を発揮します。糖質は筋肉の回復に必要不可欠。糖質の不足は筋分解を促します。実際トレーニングをしていなくても、人は日々、筋分解と筋合成を繰り返しています。

糖質の摂取で筋グリコーゲン(筋肉内に溜める糖質)の回復を促しつつ、筋分解を止めたうえで、たんぱく質を摂取することが大切です。また、筋合成にもエネルギーは必要です。糖質不足では回復に必要なエネルギーがなく、筋合成ができませんからね。

BCAAは筋肉の分解を防ぐだけでなく、回復時も真っ先に筋肉の修復にかかります。BCAAはたんぱく質が分解されたモノなんです。BCAAは筋肉の応急処置、たんぱく質は筋肉の完全修理といったイメージです。

ビタミン

補助的な役割をします。主にビタミンB,Dは糖質や脂質の代謝、たんぱく質の代謝を促します。そのうえビタミンDは筋肉の増加を止めるミオスタチンの働きを抑える効果も研究されています。これはレバー、魚、乳製品やチーズ、卵などがお勧めです。

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マッサージやストレッチ、鍼治療や筋膜リリース。

これらは、足の筋肉の血行やリンパの流れを促進するためのモノです。鍼治療に関してはツボに入れたり患部の炎症物質発現を刺激して治癒促進をする特別なものですが、残りの3つは血行促進のアプローチ手段として有効であり、どれも欠かせない方法です。

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神経疲労や内分泌系の疲労

神経疲労とは??

これは長い人だと数か月に及ぶ疲労に悩まされる場合もあります。神経は筋肉へ脳からの指令を伝達すための機関です。そのため、これが疲労していると、最大筋力や敏捷性が低下し、走りのリズムが微妙にずれてきて、「イマイチ筋肉は緩んでいるのに動きが悪い。」「力が入りにくい」なんてことにもなります。

極端な例として、筋肉の一部分の力が入りにくくなる通称「ヌケヌケ病」。これも、原因は医学的にも詳しく解き明かされていませんが、経験者の私は、神経性疲労の究極だと考えています。

セロトニンとBCAA

眠気を促すトリプトファンというアミノ酸。これが過剰分泌されると、本来「幸せホルモン」であるセロトニンが過剰に合成され、疲労の原因になります。ここでもBCAAが活躍します。BCAAはセロトニンが脳内に侵入するのを阻止します。就寝前などの摂取は量を減らすほうがいいですが日中は積極的に摂取しましょう。また、神経の種類は違いますが、自律神経の疲労も考えられます。これの究極が「自律神経失調」です。生活リズムの崩れや、試合続きによる過度な緊張。緊張が強く出るような方は、自律神経が疲労しやすいですので、レース後は長めリフレッシュ期間をとりましょう。

内臓疲労

内分泌系の疲労は食べ物や睡眠が深く関連します。内臓や血液系の回復のことを主に差しますが、やはりランニング中は普段の30%程度しか内臓に血液が回らないため、内臓は酸欠状態になります。更にあれだけ体を上下動させながら走るわけですから、内臓もぐちゃぐちゃに揺れます。そんなこともあり内臓はかなりの疲労がたまります。幸いなことに内臓は温めることや消化にいいものを食べることで回復していきます。しかし、回復のためにと言ってたくさん食べすぎてなかなか内臓疲労が取れていないランナーも多く見かけます。

血液にも負担

そして血液。「液体に疲労?」と思った方いると思います。もちろんあります。血液も体の一部分ですから。これはヘモグロビンの減少や赤血球の消費といった、悪化すれば貧血になるような疲労のことを指します。これが回復しないままに強度の強い練習や過酷な距離の走り込みをしていると、貧血となり、3か月間近く調子を落とすこととなります。

※貧血についてはまた別の記事で書きますので詳細は省略させていただきます。

 

ではうまくすべての疲労を抜くには??

具体例:

1か月間夏合宿で1日40キロの走り込みを休養もあまり挟まずに行った。しかし1週間後に記録会がある。

対処法:

まず、直観的疲労は1日あればたいていはとれるので、試合前日に余程のことをしない限り大丈夫です。一番回復に時間のかかる血液について先に考え、まず血液検査に行きます。

ヘモグロビン値男子15.0、女子12.5を目安に判断します。(その他の数値もいろんな判断材料になりますが、今回は初心者でもわかりやすいように最低限ヘモグロビンだけにします)これより低い場合は血液が薄くなっていますので、試合までは極端に練習落としましょう。貧血判定が出た場合は完全休養も視野に入れます。走り込みは終えているので焦らなくても前日刺激さえ入れれば基本的に走れます。

これを頭に入れたうえで、食欲の有無を判断します。食欲があり便通もしっかりしている場合は、しっかり食べて筋肉も血液も回復していきましょう。食欲がない場合は2.3日軽く胃に優しいような食事を意識していきましょう。先ほど挙げたような栄養を意識してください。サプリメントもうまく取り入れましょう。

筋疲労は日ごろからマッサージやストレッチ、治療に行くことを心がけ、交代浴で血流をよくします。

1週間で神経疲労はとれないかも。そういう時の応急処置は「首のマッサージ」。首は全身の神経が繋がっています。脳からの指令を体に伝えるには首を通らないと無理ですよね??首のマッサージは全身の神経をリラックスさせますので、試合前日に疲れが抜けきっていない裁などにはお勧めです。

 

睡眠

 

当り前のことなので詳しくは書きませんが、回復は食事と「睡眠」ですよね??睡眠時間をしっかりとってください。一日最低でも6時間。理想は7.8時間です。成長ホルモンは回復を促すうえ、寝ている間の脂肪燃焼も促します。成長ホルモンの分泌を促すために寝る前のスプーン1杯のはちみつをお勧めします。

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最後に

疲れを超えるとオーバートレーニングになります。

追記⇒オーバートレーニング、慢性疲労 はこちらから。

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ちょっと僕のつぶやき。

S。

S。

1996年生。 800m:1分52秒38 1500m:3分54秒53 というまあまあ無難な記録な学生時代。現役ランナーとして部を引退した現在も活動。昔から類い稀な、人体に関する知識や感覚、スポーツの栄養学やトレーニング法マニアで、沢山の人にそれを伝えるのが趣味である。 中学時代は800m:2分15秒、1500m:4分40秒の弱小ランナー 勉強を介して、独学で練習を編成。貧血やスランプも独自で乗り越え、毎年ベストを更。